犬の外耳炎について—原因、症状、治療法、予防まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
2024/12/31
犬の外耳炎について—原因、症状、治療法、予防まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
犬の外耳炎は、耳の外耳道が炎症を起こす疾患で、かゆみや痛み、耳垢の増加などを引き起こします。外耳炎は軽度であれば治療が容易な場合もありますが、繰り返し発症したり、重症化すると治療が難しくなることがあります。
この記事では、外耳炎の原因や症状、治療法、さらに予防策まで詳しく解説します。
犬外耳炎の原因—なぜ発症するのか?
外耳炎の主な原因は以下の通りです:
アレルギー:食物アレルギーや環境アレルギー(花粉、ハウスダストなど)が皮膚の炎症を引き起こします。
寄生虫:耳ダニ(オトデクテス・シニョティス)が耳の中で繁殖することで炎症を引き起こします。
細菌や真菌:耳垢が多い場合や湿度が高い環境で、細菌やマラセチア菌が繁殖しやすくなります。
異物:草の種や小さな物体が耳の中に入り込み、炎症を誘発します。
解剖学的要因:垂れ耳の犬種(例:ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル)は耳道が湿りやすく、外耳炎になりやすい傾向があります。
犬外耳炎の症状—注意すべきサイン
犬が外耳炎を発症した場合、以下のような症状が見られることがあります:
耳を頻繁に掻く、または頭を振る
耳の中が赤く腫れている
耳垢が増え、悪臭がする
耳を触ると痛がる
耳道から黄色や茶色の分泌物が出る
行動の変化(元気がない、食欲不振など)
症状が軽度でも放置すると悪化する可能性があるため、早めの受診が必要です。
犬外耳炎の治療法
外耳炎の治療は原因と症状に応じて異なります。以下は一般的な治療の流れです:
1. 耳道のクリーニング
耳垢の除去:耳垢が多い場合は、専用の洗浄液を用いて耳道を清潔にします。
洗浄液の選択:抗菌性や抗真菌性を持つ洗浄液が推奨されます。例えば、クロルヘキシジンやエンロフロキサシンを含む製品が一般的です。
2. 薬物療法
抗生物質(外用薬):細菌感染が原因の場合、抗生物質入りの点耳薬を使用します。例:オフロキサシンやゲンタマイシンを含む製品。
抗真菌薬(外用薬):マラセチア菌などの真菌が原因の場合、抗真菌成分を含む点耳薬を使用します。例:ケトコナゾールやミコナゾールを含む製品。
抗炎症薬:耳の炎症やかゆみを抑えるために、ステロイド外用薬が処方されることがあります。
内服薬:重症の場合、抗生物質や抗真菌薬を内服することがあります。
3. 慢性・再発性外耳炎の対策
アレルギー対策として、食事療法(低アレルギーフード)や抗ヒスタミン薬の使用が推奨されます。
耳ダニ感染が確認された場合は、駆虫薬を使用します。
4. 外科的処置(重症例)
重症化した場合、外科的処置が必要になることがあります。
耳道切開術:耳道が閉塞している場合に行われる手術。
外耳道切除術:治療が困難な慢性外耳炎に対して行われます。
犬外耳炎の治療費—どのくらいかかるのか?
外耳炎の治療費は症状の重さや治療方法によって異なります。
軽度の症状の場合、初診料と洗浄費用で 5,000–8,000円 程度。
抗生物質や抗真菌薬の処方が必要な場合は 10,000–15,000円 程度。
手術が必要な重症例では 50,000円以上 かかることもあります。
費用を抑えるためにも、早期発見と治療が重要です。
犬外耳炎の予防—再発を防ぐために
外耳炎の再発を防ぐため、以下の予防策を実践してください:
定期的な耳のチェックと清掃:週1回程度、耳垢や汚れを取り除く。
水分管理:シャンプー後や泳いだ後は耳を乾かす。
低アレルギー性のフードを選ぶ:アレルギー体質の犬には特に効果的。
湿度管理:高湿度を避けるため、適切な環境を保つ。
市販薬の注意点
市販薬は軽度の症状に対して効果的な場合がありますが、使用には注意が必要です:
市販薬は根本的な治療ではなく、一時的な緩和を目的としています。
症状が改善しない場合は、必ず動物病院で診察を受けてください。
使用する前に獣医師に相談し、適切な製品を選択してください。
まとめ
犬の外耳炎は、適切な診断と治療で症状を改善できる疾患です。ただし、放置すると重症化し、治療が困難になる場合があります。日常的なケアと早期発見が再発を防ぐ鍵となります。
動物医療センターPecoでは、外耳炎の診断から治療、予防策まで包括的にサポートしています。愛犬の健康に関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。