猫の甲状腺機能亢進症—原因、症状、治療、予後まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
2024/12/31
猫の甲状腺機能亢進症—原因、症状、治療、予後まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
甲状腺機能亢進症とは?
猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる内分泌系の疾患です。
この病気は特にシニア猫に多く見られ、代謝の異常を引き起こします。早期の診断と治療が、猫の生活の質(QOL)を向上させ、寿命を延ばす鍵となります。
猫甲状腺機能亢進症の原因—なぜ発症するのか?
正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下が主な要因とされています:
甲状腺腺腫:良性の腺腫が甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こす。
環境要因:食事や環境中の化学物質が関与している可能性。
遺伝的要因:一部の猫種で発症リスクが高いことが報告されています。
猫甲状腺機能亢進症の初期症状—注意すべきサイン
初期段階では以下のような症状が現れることがあります:
鳴き声の変化:大きな声で鳴くことが増える。
顔つきの変化:目が鋭くなり、顔全体がやせ細った印象を受ける。
体重減少:食欲が増加しているにもかかわらず体重が減る。
活発になる:過剰な活動や落ち着きのなさが見られる。
症状が進行すると、嘔吐や下痢、呼吸の乱れなどの重篤な状態に発展することがあります。
猫甲状腺機能亢進症の診断方法
診断には以下の検査が行われます:
血液検査:甲状腺ホルモン(T4)の値を測定。
身体検査:甲状腺の肥大や心拍数の増加を確認。
画像診断:超音波や放射線検査で甲状腺の異常を確認。
猫甲状腺機能亢進症の治療—質の高いアプローチ
甲状腺機能亢進症の治療は以下の選択肢があります:
1. 薬物療法
抗甲状腺薬(例:メチマゾール)
甲状腺ホルモンの生成を抑制。
飲み薬または塗り薬(耳に塗布)として使用可能。
2. 食事療法
ヨウ素制限フード
特殊な療法食を使用して甲状腺ホルモンの生成を抑制。
例:ヒルズのy/d。
3. 外科手術
甲状腺摘出術
甲状腺の異常組織を取り除く手術。
リスクはあるものの、根治が期待できます。
4. 放射性ヨウ素治療
最も効果的で根治が期待できる治療法。
特殊な施設で実施され、甲状腺の異常組織を選択的に破壊。
猫甲状腺機能亢進症と予後—余命について
治療を受けた場合と受けなかった場合で大きく異なります。
治療を受けた場合
適切な治療を受けることで、多くの猫が2年以上の良好な生活を送ることが期待できます。
放射性ヨウ素治療を受けた猫では、5年以上の長期生存も可能です。
治療を受けなかった場合
症状が進行し、心臓病や多臓器不全などの合併症を引き起こすリスクがあります。
末期段階では、余命は数ヶ月程度に限られることが一般的です。
生活の質を高めるために
定期健診:甲状腺ホルモンの値を定期的に確認。
食事管理:ヨウ素制限フードを継続。
ストレス管理:静かで落ち着いた環境を提供。
猫甲状腺機能亢進症の日常ケア—注意すべきポイント
食べてはいけないもの
ヨウ素を多く含む食品(例:魚介類や海藻類)は避けましょう。
ちゅーるの利用
療法食と併用する場合、獣医師に相談してください。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は、早期発見と適切な治療で生活の質を向上させることが可能です。
飼い主様が日常生活で注意を払い、定期的な健康診断を受けることで、愛猫の健康を守ることができます。
動物医療センターPecoでは、甲状腺機能亢進症の診断から治療まで専門的なサポートを提供しています。愛猫の健康に関するご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。