猫の糖尿病について—原因、症状、治療、予後まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
2024/12/31
猫の糖尿病について—原因、症状、治療、予後まで獣医師が徹底解説|動物医療センターPeco高輪台院
糖尿病とは?
猫の糖尿病は、血糖値を調整するホルモンであるインスリンの分泌不足や効果低下により、血糖値が慢性的に高くなる疾患です。
特に中高齢の猫に多く見られますが、適切な管理と治療によって症状をコントロールし、生活の質(QOL)を向上させることが可能です。
猫糖尿病の原因—なぜ発症するのか?
糖尿病の原因にはいくつかの要因が考えられます:
肥満:肥満はインスリン抵抗性を引き起こしやすいです。
遺伝的要因:特定の猫種(例:バーミーズ)において発症リスクが高いことが知られています。
ストレス:慢性的なストレスが血糖値のコントロールを難しくします。
他の疾患:膵炎やクッシング症候群などが関連することがあります。
猫糖尿病の初期症状—注意すべきサイン
糖尿病の早期発見は、症状の進行を防ぐ鍵となります。以下の初期症状に注意してください:
水を飲む量が増える(多飲)
尿量が増える(多尿)
食欲が旺盛になるが体重が減少する
だるそうに見える、または動きたがらない
歩き方がぎこちなくなる(後肢の筋力低下が原因)
これらの症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
猫糖尿病の診断方法
診断には以下の検査が行われます:
血液検査:血糖値やフルクトサミン値を測定。
尿検査:尿糖やケトン体の有無を確認。
身体検査:体重や脱水状態を評価。
猫糖尿病の治療
糖尿病の治療は以下のアプローチで行われます:
1. インスリン治療
インスリン注射は、糖尿病管理の中心的な治療法です。
治療の目的:血糖値を正常範囲内に維持し、合併症を防ぐ。
投与方法:1日2回の皮下投与が一般的。投与量は獣医師が調整します。
費用目安:月あたり5,000〜10,000円(インスリンと注射針のコストを含む)。
飼い主の役割:毎日の血糖値測定と投与スケジュールの管理が重要です。
2. 食事療法
糖尿病対応フード:高タンパク、低炭水化物の療法食を与えることで血糖値の安定を図ります。
例:「ロイヤルカナン 糖コントロール」など。
給餌スケジュール:インスリン投与のタイミングに合わせた給餌計画が推奨されます。
3. 体重管理
肥満が原因の場合、適切な減量計画を立て、徐々に体重を減らします。
獣医師と相談しながら進めることが成功の鍵です。
4. 定期検診
血糖値やフルクトサミン値のモニタリングを定期的に行い、治療計画を見直します。
5. 飼い主のサポート
日々の観察とケアが非常に重要です。特に多飲多尿や食欲の変化に注意を払いましょう。
猫糖尿病の予後—治療しない場合と治療した場合
治療を受けた場合
適切な治療を受けることで、糖尿病を管理し、猫の寿命を延ばすことが可能です。
寛解の可能性:特に早期治療を開始した場合、一部の猫で寛解が期待できます。
平均余命:治療を継続することで、5年以上の良好な生活を送るケースも珍しくありません。
生活の質(QOL):インスリン治療と食事療法の組み合わせにより、通常とほぼ変わらない生活が可能です。
治療しない場合
糖尿病を治療しない場合、深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
ケトアシドーシス:生命を脅かす緊急状態で、嘔吐、脱水、昏睡状態を引き起こします。
余命:数ヶ月以内に死亡する可能性が高いです。
その他の合併症:神経障害や感染症リスクの増加。
長期的な管理の重要性
定期的なフォローアップ:3〜6ヶ月ごとに獣医師の診察を受ける。
生活環境の改善:ストレスを軽減し、規則正しい生活を提供する。
猫糖尿病の予防—日常生活で気を付けるポイント
適切な食事:炭水化物を控えたバランスの取れたフードを与える。
運動の維持:無理のない範囲での軽い運動を習慣化。
定期健診:肥満や高齢猫では定期的な健康診断が重要。
猫糖尿病とちゅーる—使用の注意点
糖尿病の猫に市販のおやつを与える場合は注意が必要です:
一部の「ちゅーる」には糖分が含まれるため、使用前に成分表示を確認してください。
療法食と併用する場合は、必ず獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫の糖尿病は、適切な治療と日常管理によって生活の質を向上させることが可能な疾患です。
飼い主様が日々の観察を怠らず、早期に対応することで、愛猫の健康と長寿を守ることができます。
動物医療センターPecoでは、糖尿病の診断から治療まで専門的なケアを提供しています。愛猫の健康に関するご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。