猫の腎臓病を獣医師が徹底解説—原因、症状、治療、そして予防法まで|動物医療センターPeco高輪台院

2024/12/31

猫の腎臓病を獣医師が徹底解説—原因、症状、治療、そして予防法まで|動物医療センターPeco高輪台院

猫の腎臓病を獣医師が徹底解説—原因、症状、治療、そして予防法まで|動物医療センターPeco高輪台院

猫の腎臓病は、猫の寿命や生活の質(QOL)に直接影響を与える慢性的な疾患です。腎臓は血液をろ過し老廃物を排出するだけでなく、水分や電解質のバランスを調整する重要な役割を担っています。

しかし、腎臓は一度機能が損なわれると回復が難しい臓器でもあります。そのため、早期の発見と適切な治療が何よりも重要です。

この記事では、腎臓病の発症メカニズム、診断方法、具体的な治療と管理の方法、そして予防策について専門的な視点から解説します。


猫腎臓病の原因—なぜ発症するのか?

猫の腎臓病の原因は多岐にわたりますが、以下の要因が主に挙げられます:

  • 加齢:加齢に伴う腎臓の細胞機能の低下が最も一般的な原因です。

  • 遺伝的要因:例えば、ペルシャやアビシニアンといった特定の品種では遺伝的に腎臓病のリスクが高いことが知られています。

  • 尿路感染症や結石:これらが腎臓に炎症や損傷を引き起こすことがあります。

  • 慢性的な高血圧:腎臓の糸球体に負担をかけ、機能を低下させる要因になります。

  • 毒素や薬物:ユリなどの植物や特定の薬剤が腎不全を引き起こす場合があります。

腎臓病は多くの場合、これらの要因が複合的に関与することで進行します。飼い主様が気づかないうちに進行している場合もあるため、定期的な健康診断が重要です。


猫腎臓病の初期症状と診断

早期発見のためには、以下のような初期症状に注意を払う必要があります:

  • 水を飲む量が増える(多飲)

  • 尿量が増える(多尿)

  • 体重減少

  • 食欲不振

  • 活動量の低下


診断方法

腎臓病の診断には以下の検査が行われます:

  • 血液検査:クレアチニン値やSDMA(対象となる腎臓の早期マーカー)の測定。

  • 尿検査:尿比重やタンパク尿の有無を確認。

  • 超音波検査:腎臓の形状やサイズの異常を評価。

  • 血圧測定:高血圧の有無を確認。

当院では、これらの検査結果をもとに包括的な診断を行い、最適な治療プランを提案します。


猫腎臓病の進行と末期症状

病気が進行するにつれて、以下のような症状が現れることがあります:

  • 重度の脱水:飲水量が増加しても体内の水分が不足する状態。

  • 持続的な嘔吐:老廃物の蓄積による中毒症状。

  • 貧血:赤血球生成を助けるホルモン(エリスロポエチン)の減少。

  • 行動の変化:無気力や混乱などの神経症状。

末期段階では、猫のQOLを維持するための緩和ケアが最も重要です。当院では、猫の状態に合わせて栄養管理や点滴療法、疼痛管理などを含む包括的なケアを提供します。


猫腎臓病の治療—治療法と管理の実際

主な治療法

  • 療法食:リンやタンパク質を制限し腎臓への負担を軽減。

  • 薬物療法:血圧管理(ACE阻害薬など)や腎臓保護薬の使用。

  • 点滴療法:脱水症状の緩和と毒素の排出促進。

飼い主様ができるケア

  • 定期的な水分摂取の促進:ウェットフードの使用や飲水器の設置。

  • 日々の体重測定:体重減少が病気の進行を示す重要な指標になります。

  • 投薬の管理:獣医師から処方された薬を適切に与える。


腎臓病の予防—できることから始める

予防策を講じることで、腎臓病の発症リスクを下げることが可能です:

  • 定期的な健康診断:少なくとも年1回、シニア猫は半年に1回。

  • 水分摂取を増やす工夫:噴水式飲水器やウェットフードの併用。

  • 腎臓に優しい食事:塩分やリンを抑えた食事を選ぶ。

  • 環境の整備:ストレスを最小限に抑えた生活環境の提供。


まとめ

猫の腎臓病は、早期発見と適切な治療で進行を抑え、生活の質を高めることが可能です。当院では、飼い主様と共に最善の治療とケアを目指しています。些細な変化にも気付いたら、ぜひご相談ください。

猫の健康を守るために、動物医療センターPeco高輪台院はいつでもサポートします。